ゴマ粒の大きさでも、明るく光る

【田原】ゴールドマン・サックスを辞めて、次はコンサルティング会社の立ち上げに参加する。流れ星を本格的にやり始めたのはいつからですか。

【岡島】11年にいまの会社を設立しました。本格的に始めたのはそのときからです。スタッフは私だけ。1人からのスタートです。

田原総一朗●1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。本連載を収録した『起業家のように考える。』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。

【田原】1人で何から始めました?

【岡島】まずは研究開発です。首都大学東京の佐原宏典教授に協力していただいて、人工流れ星の研究を始めました。

【田原】基本から教えてください。さっき、流れ星はチリみたいな大きさとおっしゃった。そんな大きさで地上から見えるんですか。

【岡島】見えますよ。非常に速いスピードで大気圏に突入すると、ゴマ粒程度の大きさでも明るく光ります。私たちは天然のものより少し大きくて、約1センチの粒を飛ばして流れ星にします。

【田原】大きいからよく見える?

【岡島】単純にそうはいえなくて。粒の大きさよりも、原料に何を使うかが重要で、素材を工夫しています。

【田原】どんな工夫ですか?

【岡島】そこは企業秘密です。宇宙関連の技術は、特許で守っても意味がないんです。仮に真似されても、宇宙でやっていることだから特許侵害の証明が難しい。だから秘密にするしかなくて。

【田原】岡島さんの会社が成功したら、中国とかが真似するんじゃないかな。

【岡島】ありえますが、現実には難しいと思います。日本上空に流れ星を流すときは、オーストラリアから放出して約7000キロを15分で飛んできます。放出の角度と速度が少しでもズレると、流れ星を流したいところに流せなくなる。放出装置には精度の高い技術が必要なんです。粒は真似ができても、放出装置は簡単に真似できないんじゃないかと。

【田原】放出装置?

【岡島】人工衛星に放出装置をつけて、大気圏に向けて飛ばします。私たちはその人工衛星をつくっています。初号機には400粒を載せるので、ぜんぶで400回は流れ星を流せる。1回飛ばして見られる範囲は、約200キロ圏内。関東に飛ばせば、1度に3000万人の人が人工流れ星を見られます。

【田原】それはすごい。3000万人って、日本の人口の4分の1だよ。でも、空が明るい東京はどうだろう。

【岡島】マイナス一等星の明るさなので東京でも十分見られると思います。渋谷のど真ん中でネオンに目が慣れている状態だとわかりませんが……。少なくても千葉や埼玉、神奈川ではよく見えるはずです。