【田原】学生時代には起業をしていたそうですね。そのころから起業家になる選択肢も考えていた?

【岡島】学生時代の起業は完全に成り行きです。アルバイトを探していたら、ある会社から「理系だからプログラミングできるでしょ」と言われました。私はプログラミングができないので、仕事を受けて同級生に回していたら、それがけっこう評判がよかった。最初は任意団体でやっていましたが、次第に取引先が大企業や上場企業になってきて、法人格を取らざるをえなくなって。そうした流れで会社をつくったので、もともと起業家になろうと考えていたわけではありません。大学4年生のとき売り上げ1億円までいきましたが、院ではドクターに専念したかったので、その会社からは離れました。

ALE 代表取締役社長 岡島礼奈氏

【田原】院を修了して、ゴールドマン・サックスに入社する。どうして?

【岡島】研究者に向いてなくても、天文学に貢献したい気持ちは強く持っていました。そのときふと思い浮かんだのがファンドでした。天文学などの基礎科学研究は主に公的資金で賄われています。お金がお金を生むところを知れば、公的資金以外の道で自分も何か貢献できるんじゃないかなと思ったのがきっかけです。

【田原】ゴールドマン・サックスではどんなことをしていたのですか。

【岡島】東京のオフィスに勤務して、不良債権や投資案件についてエクセルでデューデリ(デューデリジェンス:資産調査)の資料をつくっていました。楽しかったですが、リーマンショックがあって大量の人が辞めざるをえなくなった。私もそれで退職。在籍は1年くらいです。

【田原】リストラがなければ辞めてなかった?

【岡島】いや、どちらにしても何年か後には辞めるつもりでした。そのころには流れ星をやろうと考えていましたから。

【田原】そこを聞きたい。岡島さんが流れ星に目をつけたのはいつですか。

【岡島】きっかけは獅子座流星群です。2001年は三十数年に1度の当たり年。当時は大学在学中でしたが、千葉の友達に車を出してもらってみんなで見にいきました。

【田原】それで感動して、流れ星を再現しようと?

【岡島】感動したのですが、イメージとは違いました。流星群というからシャワーみたいに降ってくるところを想像していましたが、実際は10分に1個、ポツンと流れる程度。それを見て、同級生たちと、「もっと一気に降ればおもしろいよね」「流れ星はチリくらいの大きさだから、人間でもつくれるんじゃないの」と妄想レベルで話していました。その妄想が頭から離れなくて、いつかやってみたいとずっと考えていました。