【田原】流れ星を売るとしたらいくらくらい?
【岡島】具体的な金額の話はまだ出ていませんが、ある企業の方から「1ケタ億円ならありかな」という反応をいただいたことはあります。
【田原】ロケットと人工衛星で十数億円とおっしゃっていたから、元は取れる計算ですね。
【岡島】まとめて数十粒という単位になると思いますが、一回20粒として、初号機は400粒積むのでイベント20回は可能です。
【田原】いくつか疑問があります。流れ星を買う目的の1つは集客だと思いますが、200キロ圏内どこでも見られたら、特定の都市やイベントに集客できないんじゃないですか。
【岡島】どこでも見えますが、場所によって見え方は変わります。たとえば花火大会も特等席は有料。それと同じように流れ星もベストスポットができるはずです。
【田原】もう1つ。雲がかかったらどうするんですか。
【岡島】飛行機で見るか、イベントを延期して別の日程に変えるか。人工衛星は在庫を持ったまま地球の周りをぐるぐる回っているので、日程をずらせば流れ星のほうは対応が可能です。
【田原】将来、技術的に改良して単価が下がれば、個人利用もできますか。
【岡島】誕生日プレゼントやプロポーズで流れ星を流せたらすごいですよね。いまロケット競争が始まっていて、さらにイーロン・マスクさんが挑戦しているロケットのリユースが確実にできるようになると、打ち上げのコストは大きく下がるといわれています。もちろん私たち自身もコストも下げたい。3号機は数千粒を搭載予定。将来は単価を下げて、一般の人に流れ星を届けたいです。
【田原】具体的に最初の流れ星はいつごろの予定ですか。
【岡島】18年度中にJAXAのロケットに乗せて初号機を打ち上げる予定です。安全審査が3回あって、最後の審査が18年8月。これに通ると乗せてもらえます。ただ、流れ星を流すのは20年春の予定。まだ少し先ですね。
【田原】えっ、打ち上げてすぐ流すわけじゃないんですか?
【岡島】いろいろ事情がありまして。JAXAのロケットは相乗りで、地上500キロくらいのところに打ち上がります。一方、流れ星を放出するのは地上400キロ周辺。宇宙空間でモノを放出した例がないので、国際情勢に配慮して宇宙ステーションのある400キロ周辺で放出することになりました。500キロから400キロまでは自力で降ります。500キロでも薄く大気があるので、パラシュートみたいなものを広げて大気抵抗を使って徐々に高度を下げるんです。それに1年かかる計算なので、20年の春になってしまう。
【田原】そんな計算ができるんですか。
【岡島】計算はできますが、不確定要素も多い。たとえば太陽活動が活発だと降りやすくなりますが、じつはいま太陽の活動があまり活発ではない時期です。