経済ニュースの本質を見極めるにはどうすればいいか。役立つのが「会計」だ。会計ではモノの動きと時間の流れを「金額」で整理していく。それが理解できると「ウラの裏」がするすると見えてくる。雑誌「プレジデント」(2018年3月19日号)の特集「会社の数字、お金のカラクリ」から、記事の一部を紹介しよう。今回は「神戸製鋼とキャッシュフロー」について――。

財務諸表で見る、神戸製鋼の「体力」

2017年10月に起こった神戸製鋼の品質データ改ざん問題。あれから5カ月、神戸製鋼の危機は去ったといえるのか。その実態は財務諸表から分析できる。

「まず見るのはキャッシュです」

と話すのは財務戦略コンサルタントの石野雄一さん。

「決算書では1年間の現金の流れを示す『キャッシュフロー(CF)』と積み上がってきた『現預金』を見ます」(石野さん)

キャッシュフローで着目すべきは、キャッシュフロー計算書にある「営業CF」から「投資CF」を差し引いた「フリーCF」だ。これは未来への投資や財務改善など自由に使えるお金であり、会社の実力値といえる。

現預金は貸借対照表(BS)の「現金及び預金」で確認でき、1557億円。事業に最低限必要な現預金を考慮する必要はあるが、少なくとも1557億円分だけ損害賠償に充てられる現預金があることを示している。