上場企業が公開している決算数字は宝の山だ。株式投資に生かせば、大きな利益を稼ぐのも夢ではない。しかし、見方にはコツがある。決算数字で実際に稼いでいる投資家は何をどう見ているのか、公開してもらった。

数字を正しく見れば2倍、3倍になる株も

長期投資で儲けようと考えるなら、企業の業績を見極めるのが早道だ。業績がよく利益を生み出す会社の価値は高いと判断され、株価が上昇していくからだ。そこで3人の専門家に登場してもらい、企業業績から上がる株を探し出す方法を教えてもらった。

鷹野宏明氏は3つのステップで株価が2倍、3倍になる銘柄を選び出している。たとえば、2014年に購入したかどや製油は3年強で約2.5倍になった。

「利益が出てもすぐに売却せず、増収増益が続く間は保有継続で、より大きな利益が狙えます」(鷹野氏)

億単位の自己資金を運用する加谷珪一氏は「伸びている業界を見極め、ナンバー1企業に投資するのが成功のセオリー」という。注意が必要なのは、その企業が戦っている市場。内需企業なら国内マーケットだけを見ればいいが、外需企業であればグローバル市場が主戦場になる。たとえば、コマツは国内トップの建機メーカーだが、グローバルでは米国のキャタピラーが圧倒的なシェアを握っている。その意味で加谷氏は「外国株も視野に入れたほうがいい」という。12年に投資した中国のバッテリー会社のBYDは、すでに株価が5倍以上に上昇している。

ファンドマネジャーとして、年率44.3%(16年6月11日から17年6月12日)という驚異的な運用実績を獲得している苦瓜達郎氏は「数字だけに振り回されないことも重要」と指摘する。最近は、四半期の数字を表面的に捉え、年間目標の達成率が悪いと売られるケースが増えている。実際には季節変動が原因であっても、それが考慮されずに数字だけが独り歩きしているわけだ。数字はどう活用すればいいのか、具体的な方法を紹介しよう。