苦瓜式
バランスシート

5つの数字にまとめて財務と効率性を確認

投資を検討するのであれば、1度はその企業のバランスシート(BS)をチェックしておきたい。ポイントはできる限りシンプルに把握すること。私は、数字を5つにまとめた「苦瓜式バランスシート」を利用している。右側は「自己資本」と「有利子負債」に数字をまとめる。自己資本に対して有利子負債が大きすぎると、財務バランスが悪く経営の安定性を欠く。左側は「現金」「運転資金」「設備」の3つにまとめる。事業の効率性を判断する指標に「ROIC(投下資本利益率)」があるが、左側を3つにまとめることで計算がしやすくなる。私は10%あれば合格点であると考えている。

鷹野式
営業キャッシュフロー

常にマイナスなら資金繰りに問題あり

増収増益が続いている企業は、業績がよいと判断できるが、その割合が大きすぎる場合には、注意が必要。一般的には、売上高も営業利益も年率20%程度の増加で相当に成長率が高いと言える。それ以上である場合には、“何かあるかも”と疑ってみよう。その際には営業キャッシュフロー(CF)が参考になる。増収増益にもかかわらず、営業CFがマイナスなら儲かっているのに現金が入ってきていないことを示す。売り上げの入金前に仕入れ代金を支払うケースもあるので、一時的なマイナスはありえるが、常にマイナスであれば、資金繰りがうまくいっていない可能性が高い。

○:企業A/営業利益プラス/営業CFプラス/順調に成長している可能性が高い
×:企業B/営業利益プラス/営業CFマイナス/資金繰りが破たんする可能性がある

鷹野宏明
公認会計士
中央大学経済学部卒業後、大手監査法人にて法定監査やIPO支援業務に従事した後、鷹野公認会計士事務所を開設。著書に『公認会計士が教える!! 儲かる株が一目でわかる決算書の読み方』など。
 

苦瓜達郎
大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネジャー
東京大学経済学部卒業後、大和総研を経て2003年から中小型株ファンドの運用に携わる。著書に『ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること』。
 

加谷珪一
経済評論家
東北大学工学部卒業後、日経BP社、野村證券グループ運用会社を経て独立。自ら億単位の資産を運用するカリスマ投資家。著書に『プロ投資家の「株を買いたくなる会社」の選び方』など。
 
(撮影=大沢尚芳、村越将浩)
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