経済ニュースの本質を見極めるにはどうすればいいか。役立つのが「会計」だ。会計ではモノの動きと時間の流れを「金額」で整理していく。それが理解できると「ウラの裏」がするすると見えてくる。雑誌「プレジデント」(2018年3月19日号)の特集「会社の数字、お金のカラクリ」から、記事の一部を紹介しよう。今回は「ソフトバンクと減損リスク」について――。

実は返済義務のない有利子負債4兆円

「もはやソフトバンクは通信会社ではない」

クレディ・スイス証券アナリストの米島慶一さんは言う。ソフトバンクの孫正義会長は業界問わず投資して事業規模を拡大。直近では2017年5月に10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の開始など攻めの姿勢を貫く。足元の財政基盤はどうなのだろうか。

その実態は数字から読み解ける。SVF発足後の17年12月末時点でのBSに目をやると有利子負債は15兆8049億円。

「利子の付く借金である有利子負債が多いと売り上げがいくら上がっても経営リスクが高い。また、ソフトバンクの自己資本比率は自己資本6兆5688億円÷総資産29兆4127億円で約22%とやや低い水準です」

と公認会計士の川口宏之さん。

一方、川口さんはソフトバンクはあらゆる数字を洗い出す必要があると言う。たとえば自己資本比率は、保有するアリババ株の含み益を入れると約73%になる(図1参照)。そのカラクリをいまから解説したい。