今年6月、LINEがQRコード決済「LINE Pay」の新戦略を打ち出し、業界に衝撃を与えた。QRコード決済は、すでにNTTドコモや楽天なども参入しているレッドオーシャン。そこに後発ながら「3年間、手数料0%」という破格の条件を出してきたからだ。その1カ月後、今度はソフトバンクが“孫正義社長肝いり”の対抗サービスを発表。アマゾンジャパンもこれに追随する。LINEに勝ち目はあるのか。LINE取締役最高戦略・マーケティング責任者(CSMO)の舛田淳氏に聞いた――。(後編、全2回)
機は熟した、とばかりに、手数料0%とポイント還元率3.5~5%という破格の条件を打ち出し、LINE Payのコード決済を一気呵成に広めようと動き出したLINE。しかし、同じようなことを考える者は、ほかにもいる。
「今、中国では完全にキャッシュレスで、若者は日常でほとんど小口現金を使っていない。すべてモバイルで決済が完結するという状況。インドでも最近急激にそういう状況になっており、日本でも同じことが起きると私は思っています」
8月6日、ソフトバンクの決算説明会で社長の孫正義は、コード決済を手がけるヤフーとの共同事業について、こう言及した。
孫正義の肝いりサービス「PayPay」
LINEが決済革命を旗印にLINE Payの新戦略を打ち出してからおよそ1カ月後の7月27日、ソフトバンクとヤフーは、今秋からQRコード(バーコード)を利用したスマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を開始すると発表した。両社はすでに6月、折半子会社のPayを設立済みで、今回、サービス名に合わせて社名もPayPayへと変更している。
孫の肝いりで、社名やサービス名も孫自身が決済のデファクトスタンダードを取るという思いを込め「Pay」という単語にこだわり続けた。結果、Payだけでは商標上の問題があるため、PayPayとなったという。加盟店の決済手数料もLINEに追随して「3年間、0%」を打ち出した。
3億人以上の利用者と800万の加盟店を抱えるインドの決済大手で、ソフトバンク・ビジョン・ファンドも出資しているPaytm(ペイティーエム)と提携。同社の技術力やノウハウを活用し、国内のスマホ決済でユーザー数1位、加盟店数1位を目指すとする。
LINEがアクセルを踏んだ直後に、いきなり現れた強敵。競合はこれにとどまらない。