別に決済手段は「スマホ」じゃなくなってもいい

決済手数料0%は、あくまで「LINE Pay 店舗用アプリ」を介した加盟店申請および決済利用の店舗のみが対象。インパクトの大きな大型量販店やGMS、フランチャイズのチェーン店などは独自のPOSシステムを整備しており、勝手にアプリをダウンロードしてコード決済をするわけにはいかない。この点について、LINE Payの長福はこう話す。

「今回の手数料ゼロ施策等の露出効果によってLINE Pay自体の認知度が上がり、大型店開拓の追い風になっていることは事実。直近でも、8月頭に初の百貨店での導入として阪急阪神百貨店のコード決済導入を発表しました。今後も、某若者向け商業施設や全国規模の飲食チェーンなど、大規模導入の開始をひかえています」

すでに大規模店舗の多くは非接触ICに対応したPOSシステムを整備済みで、コード決済は向かない、との声もあるが、舛田はこう話す。

「決済手段というのはQRコードだけである必要はまったくないと思うんですね。われわれは、コード決済を入り口にしていく。けれども、『非接触ICのほうがいい』と言うんだったら、そこは(非接触IC決済サービスの)『QUICPay』と提携させていただいたので、アンドロイド端末のユーザーは今秋からスマートフォンをかざして『LINE Pay』支払いができるようになる」

「『(将来的に)モバイルというものがなくなったらどうするんだ』という話があるかもしれませんが、そこも考え方は変わらない。別にスマホじゃなくても、それこそスマートスピーカーでも何でもいいかもしれない。いろいろなデバイス、いろいろな環境に決済を合わせていくだけ。当然、決済革命は今の施策だけで成り立つとは思っていませんので、この後、二の矢、三の矢を用意しています」

LINE以前に「携帯メールのない世界」を予想できたか

いま、LINE社内は、「一気に行くぞ!」の掛け声のもと、活気に湧いているという。LINE Payによるスマホ決済が可能な店舗(自販機等も含む)を2018年内に100万カ所まで増やすという目標を掲げており、その目標は早くも達成できる見込みだというが、LINEにとっては単なる通過点にすぎない。

キャッシュレス決済の国内加盟店舗数は、クレジットカードのVISAとマスターカードがそれぞれ3800万カ所と言われる。これから数年後、LINE Payの加盟店数がそれに匹敵する規模となり、日本人の多くがLINE Payのコード決済を使っているかもしれない。

荒唐無稽に聞こえるかもしれないが、2011年6月にLINEが登場する以前、数年後に日本人が携帯メールを使わなくなることなど誰が予想しただろうか。少なくともLINEはキャッシュレスの未来を本気で信じ、本気でひっくり返そうとしている。

井上 理(いのうえ・おさむ)
フリーランス記者
1999年慶應義塾大学総合政策学部卒業、日経BP社に入社。以来、IT・ネット業界の動向を中心に取材。日経ビジネス、日経ビジネスオンライン、日本経済新聞電子版などの記者を経て、2018年4月に独立。著書に『任天堂 “驚き”を生む方程式』(日本経済新聞出版社)、『BUZZ革命』(文藝春秋)。
(撮影=永井 浩)
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