決済サービス自体で稼ごうと思っていない
「LINE」のアプリ自体がそうだったように、LINE Payもまた、「決済サービス自体では稼ごうと思っていない」と舛田は語る。
「われわれは、決済手数料で利益を上げていくモデルではない。目指すゴールは、日常的にLINEを使ってくださっている7600万人の理想のお財布になるということ。多くのトランザクションが発生するということが大事なんですね。まずそこを目指す」
だからこそ、手数料0%どころか、還元率3.5~5%という“持ち出し”のポイント施策で、まずはトランザクション(取引)を増やす戦術に出た。しかし、それで本当に大丈夫なのだろうか。
「われわれ、ずっと『本当にマネタイズできるの?』と言われてマネタイズしてきた会社なので、大丈夫です(笑)。これは社内でもよく言っていますが、めちゃくちゃ使われているということは、めちゃくちゃユーザーがいるということじゃないですか。それはわれわれのバリューだと。バリューが上がっているということなので、そうなれば資金なんてどうとでもなるというか、必然とマネタイズへの道が開けると思っています」
手数料だけで物事を考える必要がない
この先のLINE Payのストーリーについては、どんな質問をぶつけても「どうでしょう(笑)」などとかわされてしまったのだが、例えば店舗向けの「小口融資」事業やLINE版「信用スコア」事業といった未来図を描いているのかもしれない。あるいは、店舗と顧客のコミュニケーションにおいて、収益機会が増えると見込んでいる可能性もある。
いずれにせよ、「LINE」というメッセンジャーを軸とした多種多様なサービス群が有機的に連携できるからこそ、手数料だけで物事を考える必要がない、というわけだ。
コード決済市場を狙うプレーヤーは、eコマースを主軸に据える企業が多い。言い換えれば、強いコミュニケーションサービスを持っていない競合と戦う上で、LINEは差別化を図ることができる。
ただし、LINE Payにも死角はある。