「決済」は銀行からIT企業にしみ出してきた

世界的に“決済革命”と呼ばれる動きが進んでいる。わが国でも、QRコードを使った決済制度の確立に向け産学官の連携が強化されている。今年7月、経済産業省は産学官からなる「キャッシュレス推進協議会」を設立。QRコードの規格統一や電子レシートの標準化などの議論を始める。政府はキャッシュレスによる決済比率を2025年までに40%に高める目標を掲げている。

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これまでわたしたちは、おもに現金で買い物をしてきた。しかし、その当たり前の行動が変化しつつある。現金を使わない“キャッシュレス”の発想が、わが国でも増えている。

決済とは、モノの売買など、取引を行うことによって発生した債権と債務を貨幣(お金)やモノの交換によって解消することをいう。当たり前だが、決済が約束された通りに成立しないと、取引は成立しない。決済は、経済の円滑な運営のために、重要な役割を持つ。

わが国の決済制度において重要な役割を果たしてきたのが銀行だ。背景には、戦後の復興期から今日に至るまで、“間接金融”が重要な役割を果たしてきたことがある。しかし、情報分野での先端テクノロジーの開発と実用化が進むにつれ、銀行が一手に担ってきた決済サービスは、IT先端企業など他の業界に浸み出している。それに伴い、わが国でも決済のデジタル化を目指す考えが増えている。

先端分野でのテクノロジー開発とともに、従来にはない発想を実現しようとする、新しいプラットフォーマー(ビジネスや取引の基盤を提供する企業)などの増加が見込まれる。それに伴い、わが国の決済のあり方、考え方も大きく変化していくだろう。

今、注目を集めるQRコード決済

最近、国内のさまざまな場所で、現金を使うのではなく、スマートフォンなどを使って、代金の支払いを済ませられるようになった。現金を使った支払いによらない決済を“キャッシュレス決済”という。中でも、QRコードを用いた決済方法が注目されている。

なぜ、QRコード決済が注目されているかといえば、それが、従来の決済方法よりも手軽で便利だからだろう。