キャッシュレス決済の利用は拡大する
今後、わが国において、QRコード決済に代表されるキャッシュレス決済の利用は増大していくだろう。
まず、ユーザーにとって重要なことは、その手軽さと便利さだ。すでに国内の個人消費に占めるキャッシュレス決済額の割合は20%程度に達した。わが国は、諸外国に比べて現金を用いた支払いを好む人が多いと言われる。
それでも、インターネット経由での買い物の増加やスマートフォンの利用者の増加とともに、現金を用いずに支払いを済ませたいと思う人は増加してきたのである。この傾向は続くだろう。中国などからの観光客にとって、モバイル決済は当然だ。それも、わが国におけるQRコード決済をはじめとするキャッシュレス決済の普及を支えるだろう。
変化への対応を求められる銀行勢
一方、企業側にとっても、キャッシュレス決済の普及は見逃せない変化だ。キャッシュレス決済は、顧客の口座情報などを読み取るなど、決済のデジタル化に他ならない。それによって、モノやサービスを提供する企業は、個々人の行動に関するデータを入手できる。それを分析することで、企業は、従来は知られてこなかった消費者の行動様式を把握することができるだろう。それは、新しい商品の開発や、サービスの提供、起業増加など、社会のダイナミズムを高める可能性を秘めている。
これは、決済のサービスが銀行の外に流れ出つつあることといえる。この変化は、わが国の決済制度を支え、牛耳ってきた銀行業界には脅威だろう。変化に対応するために、銀行勢もさまざまな取り組みを進めている。たとえば、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほFG、三井住友FGはQRコードの規格統一で合意し、他行にも参加を呼び掛けている。