今や鉄鋼業界にとって、グローバル化は避けられない。本書の特徴は、世界経済の現状を、膨大なデータを基に定量化し、演繹でわかりやすく解説した点にある。これは私の持論である「経営は定量化」とも合致するものだ。
著者は学者ではない。社会の修羅場をくぐった証券会社のエコノミストである。300以上の注釈や参考文献を駆使し、世界経済を分析する真摯な姿勢に、技術系出身の私は心を打たれた。
『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』『日本人だけが知らないアメリカ「世界支配」の終わり』も、併読されたい。グローバリゼーションの本質、国家を超越した金融支配の中核が、アメリカのウォール街にあるとわかるだろう。