私ごとで恐縮だが、このほど『入社1年目からの数字の使い方』という本を上梓した。主に新入社員を対象に、数字をうまく使った仕事術や、上司や先輩から一目置かれる仕事の仕方を提案している。

おかげさまで反応は上々で、新人だけでなく広くビジネスパーソンの方々に手に取っていただいている。逆に言うと、ビジネスで数字を活用したいけれども、どう使っていいのかわからないという人がそれだけ多いということだと感じている。

そうしたなか今回は、棒グラフにひと工夫する裏ワザをご紹介したい。読者の皆さんも会議やプレゼンテーションでいろいろなデータをグラフで示すことがあると思うが、この方法を使うと、自分の伝えたいメッセージをよりはっきりと明確に示すことができるのでおすすめだ。

たとえば、営業部に配属された新人のAさんとBさんの月別販売実績を図で示し、上司に説明するとしよう。単に2人の販売実績だけを見せたいのであれば、棒グラフだけで十分だ。しかし、伝えたいメッセージが「Aさんは今後も成長が大いに期待できる。その一方で、Bさんはどうやら伸び悩んでいるようだ」ということであれば、ある「ひと手間」を加えることで、より伝わりやすくなる。

それが「線形近似」だ。棒グラフに傾向を表す矢印を表示することで、データの推移をざっくり表すことができる。図のように2つの直線の矢印によって、「Aさんは今後も成長が期待できる」「Bさんは伸び悩んでいる」というメッセージがひと目でわかるグラフになる。