就活生が「残業の有無」を必ず質問する理由
2020年に卒業予定の大学3年生が就職活動を本格化させている。いま取り組んでいるのは「夏のインターンシップ」だ。
学生側が有利な「売り手市場」が続くなかで、とりわけ「残業の有無」を気にする就活生が増えている。日本能率協会の「2018年度新入社員意識調査報告書」によると、会社を選ぶ決め手として「残業が少ないこと」(22.0%)が最も多かった。
また日本生産性本部の「2018年度『働くことの意識』調査結果」で、就労意識を尋ねた質問への回答を見ると、1位「仕事を通じて人間関係を広げていきたい」(94.1%)、2位「社会や人から感謝される仕事がしたい」(92.9%)に次いで、「ワークライフバランスに積極的に取り組む職場で働きたい」と答えた学生が92.6%(前年比0.8ポイント増)で3位にランクしている。
▼仕事はあくまで「人並みに」
これに加えて特徴的なのが、働くことに対する“熱量”の低さだ。日本生産性本部の調査によると「人並み以上に働きたいか」という質問に「人並みで十分」が61.6%。これに対して「人並み以上」は31.3%だった。
実は2012年度までは「人並みで十分」派を「人並み以上」派が上回っていた。だが、13年度に「人並みで十分」派が逆転して以降、差が広がっており、今年度は「人並みで十分」が過去最高を更新した。
さらに驚くのは「仕事中心派」の低下だ。仕事中心か、私生活中心かという質問では「両立」が78.0%で最も多く、その継ぎに多いのは「私生活中心」の15.2%だった。「仕事中心」は6.7%で、2014年度以降は減りつづけている。
前出の日本能率協会の調査でも、「プライベート優先か、仕事優先か」という2択に対して、前者が75.8%、後者が24.2%となっており、仕事よりもプライベートを大事にしたい人が圧倒的に多いことがわかる。