ハウテレビジョン代表の音成洋介です。われわれは2010年より新卒向けのリクルーティングサイト「外資就活ドットコム」を運営しています。現在は東京大学・一橋大学・慶應義塾大学の就職希望者の大学生の50%以上、京都大学の同じく40%以上の方々にご利用いただいています。今回は、東大生・京大生に焦点を絞って、ここ数年の新たな傾向についてお伝えできればと思います。
最上位校の学生は企業のマーケティング活動の多寡や一般的な知名度より、自らの能力を存分に発揮するため、国や企業の将来性や産業構造、自らの市場価値向上をシビアに見据えて、戦略的にキャリアを選ぶ特徴があります。この層にフォーカスすることで、若手優秀層の動向変化を明らかにできればと考え、今回は東大・京大の2校を取り上げます。
この時期、2020年卒業の大学3年生・大学院1年生は、早くも就職活動の前哨戦とも言える「サマーインターン」の選考に向けて準備を始めており、通年で登録可能な当サイトにも多くのユーザーが集まってきます。実は外資就活ドットコムでは、まだ就職活動の情報収集が十分でない20卒学生にも、イメージで志望企業を選んでいただいています。東大生・京大生に絞ってその結果を3年分比較してみたところ、面白い変遷が見えてきました。
外資系コンサル人気は盤石。外銀はじわじわ復活?
第一に挙げられる特徴は、マッキンゼーやボストン コンサルティング グループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニーといった外資系戦略コンサルティングファームが、安定してランキングトップを維持していることです。BCGがゴールドマンに競り負け、ベインが1年前からトップ10内に入るなど多少の変動はありますが、東大生・京大生が目指す定番として盤石になったといっても過言ではありません。
では、日系コンサルティングファームはどうかといえば、最も学生から支持の高い野村総合研究所はじわじわとランキングを落としており、昨年圏内に入った三菱総合研究所は20年卒調査ではランク外に落ちてしまいました。
外資系投資銀行は年々順位を上げています。ゴールドマン・サックスは3位から2位へ、モルガン・スタンレーは2年前からランクを4つ上げて第5位。この躍進はニューヨーク証券取引所にて、モルガン・スタンレーがゴールドマンの時価総額を上回ったところにも起因するかもしれません。
JPモルガンは1年前からランクインして、今回は9位に入りました。国内リーグテーブル(投資銀行が取り扱った債券発行やM&Aの仲介などの案件数・案件金額ランキング)上はゴールドマン、モルスタ、野村に少し水を空けられていますが、世界ではナンバー1の売上を誇り、学生からの評価も高くなっています。また日系投資銀行として気を吐く野村証券は本年からトップ15入りを果たしました。
コンサルティング、投資銀行、いずれもタフな仕事で知られる両業界ですが、こういったプロフェッショナルファームに勤める若手社員から話を聞くと、ミスマッチは減りつつある印象です。また終身雇用ではない以上、「ネクストステップ」を視野に入れている大学生が多く、投資ファンド、国際機関、事業会社の経営企画、総合商社、ベンチャー、起業など、転職先の多様さも魅力的にうつるのかもしれません。