2018年末に「年越し派遣村」が復活する
無期雇用のコストに加えて均等・均衡処遇という二重のコスト負担は当然、経営を圧迫する。この役員はこう指摘する。
「今でも派遣社員の社会保険料やキャリアアップのコストアップで利益が出なくて苦しむ企業が多いのです。さらに法改正に伴うコスト負担に耐えられずに廃業・倒産する企業が増えるのは間違いありません」
派遣会社の事業所数は約8万。すでに2015年の派遣法改正で派遣事業の届出制が廃止され、許可制に一本化され、届出制の事業者の廃業が相次いでいる。そこを「2018年ショック」がおそえば、一気に業界の淘汰が進み、最終的に生き残るのは業界大手企業だけではないかという見立てもある。
生き残りを図ろうとする中小の派遣会社では、無期雇用化を避けるために派遣の上限期間の前となる2~3年で雇い止めを行う企業が出てきているという。
▼契約1年目に、以降も継続して働いてもらうか「選別する」
また、5000人以上の派遣社員を抱えるコールセンター会社では、4月以降の無期転換を防止するために、今後は契約後1年を迎えるまでに能力・スキルの選別を行おうとしている。同社の人事担当者はこう語る。
「新たな評価制度を作り、契約後1年を迎える段階で能力・スキル基準を設けて選別し、今後も継続して働いてもらうかどうかを決めていく予定です。基準をクリアできなければ残念ながら契約打ち切りとなる」
もしそういう会社が増えると、派遣社員の雇用は不安定にならざるをえない。派遣社員の雇用の安定と処遇の向上を目指した一連の法改正が、むしろ不幸をもたらす結果になりかねない。
リーマンショック後の2008~09年に大量の派遣切りが発生し、「年越し派遣村」が誕生した。「2018年ショック」は、再びそうした事態を招く恐れがある。早急の対策が必要だろう。
(写真=iStock.com)