例えば、ストライプインターナショナルのグローバル戦略ブランド「koe」の事業部部長の篠永奈緒美さんは、石川社長の大きなビジョンに対して、最初から「できない」とは言わないとこう語っていた。
「なるべく思い描いていることを実現できるよう努力します。石川がやりたいことをかなえようとはするんですけど、数字がついてこなかったりとか、コストがかかりすぎるときもある。それが見えてきてから報告して、難しいときはそう言います」
カルビーで事業を急成長させたフルグラ事業本部本部長の藤原かおりさんは、プロジェクトにアサインされて真っ先に決めたことがあった。
「言われたことは取りあえずやろう、ということです。やってうまくいかなかったら納得しますが、いろいろ理屈をつけてできません、と言うのが一番イヤがられるんです」
世界的な建築家、隈研吾氏の隈研吾建築都市設計事務所の社長を任されている横尾実さんは、たくさんのプロジェクトを調整する役割を担当している。隈氏から、やりたい、という声が上がることもあるが、絶対に無理、などと考えず、まずはスタッフの状況を確認する。こうして、たくさんの案件を引き受け、信頼を勝ち取り、実績を作り上げてきた。
「結局、締め切りがあるとできちゃうんですよ(笑)。締め切りに向けて、いかに効率よくやるかがポイントですね」
CHECK▼スピード意識は持っているか?
社長が“そばに置きたい”という人の3条件、2つ目は「スピード意識がとんでもなく強い」ことだ。自身の仕事が速いだけではない。相手、とりわけ経営トップの時間をいかに奪わないか、常に強く意識しているのである。
例えば、メール連絡。カルビーの海外事業本部本部長の笙(しょう)啓英さんが、メールで気を付けていることがある。
「とにかく簡潔にすることですね。報告なのか、相談なのか、判断をしてもらいたいのか、明確にする。当然、忙しいじゃないですか。長いメールをもらったりするのは、一番イヤなんじゃないかと思います」
箇条書きをよく使うという。
「こういうことについてご判断いただきたい、と書いたら、条件をポンポンポンと書いて。また返事が来る。僕自身、率先垂範で社内でメールを送るときには、できるかぎり箇条書きにしています」