そして気を付けているのが、不必要な情報は入れないこと。

DeNAで会長室にいた中井さんは移動中の社内を情報インプットの場にしていた。経営トップが携わる情報は膨大。会う人物の情報、案件の情報を早くからインプットしておくことは難しい、それよりも、直前にコンパクトに伝えることが求められる。社内外でのミーティングでも同様だ。

「できるだけ短い時間でインプットしやすいように、事前に情報をまとめておいて、しかもそれを紙で見せるようにしています。そうすると、何がポイントなのか、本人がさっと決めることができる。絵があったほうが伝わりやすい。紙のほうが見やすそうにしています」

情報は1枚にまとめる

ストライプインターナショナルの宣伝部部長中村雅美さんは、これはどういうこと? というやりとりが続くのが、最もやってはいけないこと、できるだけ一発で理解できるものを、と語っていた。

写真=iStock.com/Saklakova

「そのためにも、感覚だけでものを言わないようにしています。データなのか、状況なのか、必ず背景となるものを付け加える。これは“確認して”と言われるな、“この情報が欲しい”と言われるな、と想像ができたら、最初からつけておく」

添付するのは、1枚の資料をPDFで。

「2枚になるとダメです。1枚にする。外部に資料をいただく際も、1枚でお願いしますと言うようにしていました」

外に対しても、どうしてスピードを強く意識する。その理由を端的に語ってくれたのは、隈研吾建築都市設計事務所のコミュニケーション・ディレクター、稲葉麻里子さんだ。

「隈自身のレスポンスがとても速いんです。メールを送ると即返信が来ることも少なくありません。ここで私がモタモタしていたら、隈がモタモタしている、みたいになってしまいます」

CHECK▼トップのことを理解しているか?

社長が“そばに置きたい”という人の3条件、3つ目は「トップをよく理解している」ということ。トップ自身を、あるいはトップの状況を、だ。

隈研吾建築都市設計事務所の横尾さんは、隈氏が書いた本を読んだりすることも重要な仕事になっていると語っていた。

「建築は、隈研吾1人で作れるものではありません。いろんな関係者と一緒に作っていく。でも、最終的にできあがったものは、隈の建築哲学が色濃く反映されているものでないと作品にならないんです」

そのためには、隈氏の建築哲学をしっかり理解しておかないといけない。