些細なことにイライラする自分に自己嫌悪する。そんなときに感情を抑え込もうとするのはよくない。「自分は今イライラしているな」と、その感情をいったん認め、そのうえで受け流すことが重要だ。イライラを解消するにはどうすればいいか。脳科学者と心理学者に聞いた――。(第5回、全5回)

※本稿は、雑誌「プレジデント」(2016年10月3日号)の特集「毎日が楽しくなる脳内革命」を再編集したものです。

わけもなくイライラしたときの対処法

自動改札で前の人がつっかえた。コンビニのレジがなかなか進まない。そんな些細なことですぐイライラする自分に自己嫌悪……。

「そんなときは性格うんぬんというより、まずは寝不足ではないか、食事のバランスが崩れていないかどうかをチェックしてみてください」

医学博士●加藤俊徳氏

と言うのは医学博士の加藤先生だ。栄養バランスの偏りがイライラの原因になるというとカルシウム不足を連想するが、たんぱく質やビタミンが不足しても、怒りっぽく情緒不安定になるという。このところ忙しくて外食が続いているという人は、魚や野菜、果実不足を疑ってみよう。

仕事を抱え込みすぎて、何をどの順番ですべきかが整理できていないときもイライラしやすくなるし、朝、出がけに夫婦ゲンカをしたりしても、ちょっとしたことで感情を爆発させやすくなってしまう。

以上のようなケースはイライラの原因がはっきりしているので、それを解決すればいい。問題はそれ以外のケースだ。わけもないのにイライラして怒りっぽくなっているとすれば、やはり脳の使い方が偏っている可能性があると加藤先生は言う。

これを解消するには、青春時代に好きだった音楽を聴くのが効果的だ。

「たとえば高校生のころに好きだった曲を聴くと、当時の楽しかった記憶がありありとよみがえるでしょう。これが記憶系脳番地を刺激するのです」