人間である以上、ネガティブな感情を完全に制御することは難しい。それでも「怒り」がいかに社会生活や家庭生活で不利益をもたらすのかを理解しておけば、ある程度の抑制効果はあるはずだ。「怒り」が原因の「本当にあった怖い事例」を紹介しよう――。
夫婦のイザコザで、毎晩の飲み代が急激に膨張
怒りっぽいと、金銭的にも損をしがちなのか。生活マネー相談室代表の八ツ井慶子氏は、これまでの相談事例から次のように語る。
「お金の使い方というのは、その人の“マインド”そのものといってもいいくらいなんです。例えば、『これを買う』という意思決定には、自身の性格やそのときの精神状態が反映されます。特に浪費や無駄遣いの場合は顕著なんです」
相談者の家計簿にほかより金額が高い費目があったとき、八ツ井氏が尋ねるのは、「何を買ったのか」ではなく、「なぜ買ったのか」だ。
「最近男性に多いのが、ストレス発散のために買い物をするケース。ストレス買いは女性のイメージがありますが、男性でもあるんですよ」
男性は、いつも仕事で使う靴やカバンをワンランク上にしたり、スーツをオーダーメードにしたり、仕事に直結する散財が多いという。
「もう1つ要注意なのが、飲み代が増えるケースですね。仕事のイライラのはけ口として酒量が増えるのはわかりやすいのですが、この前相談に来た30代後半のご主人の場合は、夫妻間のイザコザが原因でした」
その夫婦には小さい子供がいて、毎晩寝かしつけるのは妻の役目。夫が会社から帰宅する時間がちょうど寝かしつけた直後に当たることもあり、そのたびに「どうしてこんな時間に帰ってくるのよ! 物音で起きるじゃない」と文句を言われていたそう。
「俺は悪くない!」と夫は反論し、お互い一歩も譲らず。妻の態度にイライラを募らせた夫は、まっすぐに家には帰らず、酒場で同僚などに妻の愚痴を言うのが日課になってしまったというのだ。
「帰宅時の物音の対策を取る、帰宅する時間や寝かしつけの時間を連絡し合うなど、解決策はあったはずです。お互い腹を立てているので、冷静になれなかったのでしょう」