ネガティブな感情を完全に制御することは難しい。それでも「怒り」がいかに社会生活や家庭生活で不利益をもたらすのかを理解しておけば、すこしは抑制できるようになるかもしれない。「本当にあった怖い事例」を紹介しよう――。

怒る側と怒られた側、大きな意識の違いがある

怒りっぽいことで、どんな損をこうむるのか。事実を検証する前に、図を見てほしい。

アンケート概要●一般社団法人日本アンガーマネジメント協会調べ。対象:社員(職員)100人以上の企業に勤める正社員(正職員)の男女とコールセンター勤務の男女。部下、後輩、顧客に怒ったことがある515人、上司、先輩、顧客に怒られたことがある774人。調査期間:2016年3月11~14日。調査地域:全国

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日本アンガーマネジメント協会の調査によれば、「怒ったとき、怒られたときの感情はどれくらい持続するか」という問いに対して、怒ったほうは「数分程度」と答えた人が一番多いのに対し、怒られたほうは「1年以上」がトップだった。

また、「パワハラに該当するかどうか」は、怒られたほうの5割以上がそうだと答え、怒ったほうは、2割弱しか気にしていない。

「人間関係が回復したか」という問いには、怒られたほうは5割弱が「全く回復していない」、怒ったほうは5割弱が「だいぶ回復した」と感じている。

自分はすでに忘れているのに、怒った相手はずっとうらみ続けていて、パワハラだと感じているとしたら、笑い事では済まされない。この意識の違いを念頭に証言を聞いてみよう。