スマートに会計できる行きつけの店がある

フットワークが軽いのは、旅行に限りません。新しいビジネスを始めるときには、関連法規を調べたり、市場調査をするなど最低限の準備はするものの、基本的には「まず行動してみる」人が多い。「やってみなければわからないことが多いから」です。例えば、ベンチャー企業は、過去の取引実績がないと銀行に法人口座を開設しにくかったり、不動産を借りにくかったりすることがあります。そういうことはあまり本に書かれていない。それは一歩踏み出してみなければわからないのです。だから、最悪の場合の損失額を見積もり、仮にそれが一億円ならば、一億円を損する価値がある一歩かどうかを判断する。踏み出す価値があるなら、失敗を恐れずやってみる。庶民と富裕層とでは「失敗」という言葉の意味合いが違うのかもしれません。

家族を大切にし、本当に必要なお付き合い以外は外食をしない方も多い。外食する場合は、相手にごちそうすることが当たり前です。その場合も洗面所に立つふりをして会計を済ませるなど、相手に気をつかわせないようスマートに支払う。店員が自分のところに請求書を持ってくるよう、あらかじめ打ち合わせることも多いようです。そういった気配りができる「行きつけの店」を持っていますし、それができないお店には二度と行かない。お金を払う価値がない相手とも二度と食事をしない。そのあたりの価値判断がシビアで厳しいのも富裕層ならではです。

公認会計士 平林亮子(ひらばやし・りょうこ)
1975年、千葉県生まれ。お茶の水女子大学在学中に公認会計士2次試験に合格。卒業後、大手監査法人を経て独立。現在は経営コンサルタントとして活躍しながら、大学やセミナーで講師を務める。著書に『お金が貯まる5つの習慣』(幻冬舎新書)などがある。
(構成=大山弘子 撮影=坂本道浩 写真=PIXTA)
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