お金持ちがみな幸福とは限らない。もちろんお金は「ない」よりは「ある」ほうがいい。しかし超富裕層である著者は、「幸福度はお金の使い方で決まる」という。その理由とは――。

人間をシアワセにする「お金の使い方」とは?

例えば、「休暇」です。

古今東西の人が、無上の価値を見出しているもののひとつに「休暇」があります。ある大学教授の研究では、人は「年収額や学歴」を自由に選べるとすると、「他人より高い」ほうを選ぶ傾向があるそうです(相対的な評価を優先)。しかし、「休暇」などに関しては自分が納得できれば他人より短い期間でもいい(http://president.jp/articles/-/20185)。

別の教授は、他人との比較優位によって価値が生まれるものを「地位財」と呼びました。「所得」や「社会的地位」「車」などがこれに含まれます。一方、他人が持っていることとは無関係に、その自体に価値があり喜びを得られるものを「非地位財」と呼びました。前出の「休暇」や、「愛情」や「健康」などがこれに含まれます。

ただ、金銭に換算することが難しい非地位財が地位財よりも大切だというのは、実は直感では理解しにくく、地位財の追求をやめることはなかなか困難です。

そこで今回は、地位財なのか非地位財なのか、それとも他の選択肢があるのか、何にお金を使えばいいのかについて改めて考えてみます。多くの人の究極の目的は幸せになること。そのために何にお金を使えばいいのかを「人間を幸せにする行動」という観点から見ていきます。

人間を幸せにする行動を探し出して、その行動にお金を投資することができれば、これこそが真に正しいお金の使い方といえるのではないでしょう。

逆に、人間の幸せを損なうような行動を減少させるためにお金を使えば、これも真に正しいお金の使い方だとも言えるかもしれません。