英語を習得するには遅過ぎる……?

40歳をすぎると、学生時代の英語力はすっかり錆びつき、記憶力も減退。英語の勉強が苦痛で、不安にかられる人が多い。しかし「やり方次第では、40代でも英語は上達する」と、英語の達人たちは異口同音に指摘する。ジーエルアカデミア代表取締役の塚本亮さんは、「海外留学や大学院進学の夢を実現するため、英語の勉強を中高年から再び始め、実力をメキメキ伸ばした人は大勢います」と明かす。

また、児童英語研究所社長の船津洋さんは「英語は“学習”するのではなくて“獲得”するものです」と力説する。いうなれば、体のなかに英語の感覚を染み込ませない限り、英語は身につかないというわけだ。人間が言語を操る仕組みについて、脳科学を長年研究してきた元帝京平成大学教授の後藤秀機さんは、下の図の「脳の地図」を見ながら次のように説明する。

「耳から脳の聴覚野(41/42)に入った言葉は、感覚性言語中枢のウェルニッケ野(22)で意味づけされ、記憶されます。会話をする場合、ウェルニッケ野で相手の言葉を理解し、前頭前野で文章を組み立ててから、運動性言語中枢のブローカ野(45)を通じて言葉を発します。私たちが言語を身につけるのは、言葉のやり取りを長期間にわたって繰り返しているうちに、脳に言語の回路ができるから。脳が同じ刺激を受けていると、神経細胞同士が強く結合して、情報伝達がスムーズになります。これを『ヘッブの法則』と呼びます」

後藤さんによれば、英文法問題を解く場合、英語の初心者は、脳のさまざまな部位を使うが、英語の上級者は、前頭前野など脳の一部しか使わないことが実験でわかったという。英語の上級者は、英語の回路ができており、効率的に答えを導き出せるのだ。ただし、言語の回路は、長期間使っていないと、脳が“廃用”にしてしまうそうだ。

つまり、英語の勉強を日頃から継続していれば、40代になっても、英語力は十分アップできるといえそうなのだ。