どうしても英会話学校講師と気が合わない

海外と仕事をするようになったビジネスマンが、英会話の腕を上げようと、英会話学校に通う姿をよく見かける。しかし、長続きしない人も少なくない。

英会話学校をやめる理由として多いのが、「先生と気が合わない」だ。確かに、話し相手との相性によって、ヤル気は左右される。昔から「外国人の恋人ができると、英語は爆発的にうまくなる。自分の気持ちを相手に伝えたいので、努力するからだ」といわれる。

それはそうだが、意中の話し相手と出会うのも簡単ではない。そこで、元帝京平成大学教授の後藤秀機さんさんは、「表現力などアウトプットを試す場として、英会話学校を割り切って使ったら」と勧める。そうなれば「どんな場面でどんな表現をするのか、アウトプットの例文を考えると、英語は覚えやすいですね」という自然科学研究機構生理学研究所教授の柿木隆介さんの助言も活きてくる。

一方、英会話講師のニック・ウィリアムソンさんは、「外国語の習得経験がある教師を選んだほうがいいです。生徒の気持ちがわかるから」としたうえで、「日本人は難しく考えすぎ。フランス人のように間違っても積極的に会話をしたほうが、英語の上達は早いですよ」と背中を押してくれた。

ドメの仕事で英語不要のためヤル気にならない

「取引先は日本企業で、英語を使わない」というドメスティックなビジネスマンも多いだろう。だが、英語に接する機会は着実に増えている。京都市在住のジーエルアカデミア代表取締役の塚本亮さんは、「外国人観光客が増え、路線バスの運転手さんも、英語力が必要になっています」という。

「私も昔は、英語を不要と考えていました。しかし、幅広い考え方をするハーフの先生が高校にいて、外国の人ともっと話したいと考えて勉強を始めたのですが、確かに世界観が広がりました」

元帝京平成大学教授の後藤秀機さんも、「海外とのメールのやり取りなどでも役立ちます」と助言する。

塚本 亮
ジーエルアカデミア代表取締役。偏差値30台から独自の勉強法で同志社大学に入学。卒業後ケンブリッジで心理学を学ぶ。帰国後、心理学の知見と自身の経験を活かした英会話学校のジーエルアカデミアを設立。
 
船津 洋
児童英語研究所社長。1965年生まれ。米国カンザス州の大学で学んだ後、右脳教育の第一人者の七田眞氏に師事し、児童英語研究所に入社。著書に『子どもの「英語脳」の育て方』などがある。
 
後藤秀機
元帝京平成大学教授。1943年、東京生まれ。神経生理学者、医学博士。早稲田大学理工学部卒、東京工業大学大学院修了。著書に『先端脳科学者による1ヵ月かんたん英会話脳トレ』がある。
 
柿木隆介
自然科学研究機構生理学研究所教授。1978年、九州大学医学部卒業。ロンドン大学医学部研究員などを経て、2004年より現職。専門は神経科学。著書に『記憶力の脳科学』『どうでもいいことで悩まない技術』などがある。
 
ニック・ウィリアムソン
カリスマ英会話講師。シドニー大学で神経心理学を専攻。卒業後、東京学芸大学に研究生として来日。TVの司会も務める。著書に『中学レベルの英単語でネイティブとペラペラ話せる本』などがある。
 
(撮影=加々美義人、熊谷武二)
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