1対1ならOKだが相手が複数だとちんぷんかんぷん

英会話がある程度こなせるビジネスマンでも、「欧米人と1対1なら話ができるが、複数が相手だと、ついていけなくなってしまう」という悩みがよくある。

児童英語研究所社長の船津洋さんは「英国人や米国人は親和性が高くて、1対1だと相手の理解度に合わせてくれます。でも、集団になるとそうもいかず、そのギャップに日本人は戸惑うんですね」と分析する。

ネイティブの発音は、複数の単語のリエゾンなども入ってくるので、聞き取るのに苦労する。カリスマ英会話講師のニック・ウィリアムソンさんは「言葉の塊ごとの発音を、覚えておくと役立ちます」と助言する。ジーエルアカデミア代表取締役の塚本亮さんは、「ネイティブも正しい英語を話しているとは限らないので、開き直って気軽に話をしましょう」と助言する。

欧米にはパーティー文化が根づいているが、日本人は会話の輪に入っていけずに“壁の花”になりがちだ。元帝京平成大学教授の後藤秀機さんはその対策として「新聞などで、時事ネタの話題を仕込んでおくといいですね。どうしても話題がないときは、仕事の話でもかまいません」と勧める。

単語も文法もOKなのになぜメールが伝わらないのか?

海外の取引先に英文でメールを送ったところ、「全く通じていなくて、ショックを受けた」――。これも、英語力に自信を持っているビジネスマンが陥りがちな落とし穴だ。英語の文法が間違っているわけではないのだが、塚本さんいわく「日本人が書く英文は、欧米人にとって、わかりにくいケースが多いのです」とのことだ。

「日本人の英文の欠点は長すぎること。短い文章は稚拙と思い込んでいるのか、英文法をよく知っている人ほど長くなる傾向にあります。その結果、何がいいたいのか、相手に伝わりません」

塚本さんは、英文メールを作成する際の心得として、次の3つのポイントを押さえるべきだという。

「(1)メールの案件は1つに絞ること。他の案件があるときは、別のメールを送りましょう。(2)メールには一番伝えたい要点を最初に書くこと。メールの件名にも、キーワードを入れるといいでしょう。(3)文章は簡潔な表現を心がけること。文章はなるべく短く、もって回った表現は避けましょう」