>>倉重英樹さんからのアドバイス

少子高齢化が進み、定年=引退というわけにはいかなくなった。いまあなたがちょうど50歳なら、組織を離れる時期がきたとき、「自分はこれができます」と、社会にアピールできる種をきっちり考えておくことだ。そのとき役立つのが、時間の“投資”先のひとつ、趣味である。私の知り合いにも、長年深めてきた趣味を生かして陶芸家になったり農業を始めたりした人がいる。

引退する時期は本来なら自分で決めたほうがいい。多くの人は会社から通告される「定年を迎える日」によって、引退を機械的に迫られる。これがよくない。最近、定年退職を控えた人のカウンセリングが流行っているという。「定年=引退」と決めている人ほど、その後の人生をうまくマネジメントできず、精神的に不安定になってしまうそうだ。退職したらゴルフ三昧だと楽しみにしている人もいるかもしれないが、2週間も連続してゴルフをすると、クラブなど見たくなくなる。

そうならないためにも、組織を離れる時期は自分で決める、定年で離れるにしても、その後のプランをしっかり描いておくことだ。

私はいま66歳。働くのは楽しいと最近とみに思う。何が楽しいかといえば、会社に来るといろいろな人に会えることだ。人間は何歳になっても、自分の能力を何らかの成果に変えたいと思うもの。一方で、経営者である私は引き際も肝心だと心得ている。