右肩上がりは昔の話、現状維持にも努力が必要な時代だ。自身でキャリアをつくってきた2人の経営者が、「求められる人材」になるための秘訣を伝授する。

>>倉重英樹さんからのアドバイス

私が就職したのは40年以上も前だが、当時は平社員→主任→係長→課長→次長→部長……という、かなり強固な組織の階段があった。「階段を上ること=キャリアアップ」だと皆が信じていた。しかし、いまはこれが幻想にすぎないとわかっている。経済が右肩上がりで成長し、若者の人口のほうが年寄りよりも多い、という前提が覆されたからだ。

組織内での出世モデルが破綻したいまは、逆に市場や世間が認めてくれる価値のほうが重要である。会社は外で認められている人を絶対に粗末にしない。私は社員に「自分のポジションは会社の中ではなく社会で探せ」といつも説いている。