志願者数は2年連続で千葉大トップ
国公立大前期試験の合格発表も終わり、今年の入試も峠を越えた。近年の入試では国公立大の人気が高い。一番の理由は学費の安さにある。国公立大はどの学部も同じ学費で、私立大のように学部間格差はない。国立大の初年度納入金と私立大の学部別平均学費を比較すると、理工系学部で私立大は国立大の倍、医学部だと9倍にもなる。ただ、国公立大人気は高いが、毎年、最初の関門となるセンター試験の出来、不出来で、国公立大の志願者数がほぼ決まってくる。国公立大はセンター試験の成績と大学独自に二次試験で合否が決まるからだ。センター試験ができないと出願をとりやめ、私立大一本に絞る受験生も少なくない。
今年のセンター試験の平均点は理系でダウンし、文系でアップした。文系の受験生にやや有利な状況となった。この結果から、今年も“文高理低”の学部志望動向となった。さらに、国立大では文系学部の定員を減らし、理系学部の定員を増やしたところが多かった。文科省の文系学部不要論の影響だろう。もともと国立大は文系学部の定員が少ない上に減っていることから、文系志望者は定員の多い私立大に流れたと見られる。
この結果、今年の国公立大の志願者数は、昨年に比べて858人、0.2%減で、6年連続の減少となった。受験生総数が増えていることを考えれば、かなりの減少といえよう。ただ、募集人員も減少しているため、競争率が緩和されることはなかった。内訳は国立大が昨年に比べて志願者が0.9%減、公立大が1.7%増だった。国立大に比べて、比較的入りやすい公立大の人気が高くなった。
志願者トップは2年連続で千葉大だ。1万1718人、昨年より361人増えた。昨年、国立大初となる国際教養学部を新設し人気を集めたが、今年は後期試験で志願者が増加し、さらに伸びた。東京大をはじめ後期試験を廃止したり、定員を減らしたりする大学が多く、後期を実施している大学は人気になりがちだ。その上、首都圏では医学部まである総合大学は、東京大と千葉大ということもあって人気が高い。最近の受験生は単科大学よりも総合大学を選ぶ傾向が強いことも理由だ。
2位は昨年の4位から躍進した神戸大で、6年ぶりの志願者増の1万24人となった。1万人を超えたのはこの2校だけだった。今年は国際文化学部と発達科学部を改組し、新しく国際人間科学部を新設した。志願者増の理由として大きいのは、今年から大阪大が後期試験を廃止し推薦とAO入試の世界適塾入試を新しく実施したことだ。そのため、大阪大後期試験廃止の受け皿として、神戸大後期が人気を集め、なかでも文、法学部で志願者が増加した。