女子受験生人気が志願者増を支えている

受験生の出願状況は大学に対する人気投票ともいえ、その多寡に大学の勢いが現れる。そうした視点から今春の志願者数ランキングを見ると勢いのある大学が多く、上位5校が10万人を超えた。2000年以降、単年で10万人を超えたのは3校が最高で、5校に上るのは初めて。00年から16年の間に18歳人口が151万人から119万人に減っていることを考えると、人気度合いが分かる。

では、これらの大学に多くの志願者が集まった要因はどこにあるのか、検証していこう。

1位の近畿大学は、14年から3年連続で志願者数日本一だ。志願者増の一因は、硬派のイメージが強かった同大で、女子人気が高まったこと。きっかけは10年の総合社会学部の新設だ。同学部のシンボルキャラクターである「ブライス」と名付けられた少女人形が女子受験生に人気となり、女子の志願者が増えた。今春の同学部の女子志願者の割合は45%だ。その後も近畿大は学部新設が続き、11年の建築学部と16年の国際学部も女子に人気が高い系統の学部であることが、志願者数を押し上げる要因となっている。

その他の要因としては、他大学に先駆けて、現在主流になりつつある、紙の願書を無くした完全web出願に切り替えたこと、さらに、効果的な広報活動により、「近大マグロ」に代表される研究力が認知されたことなども要因。近畿大は4年連続で志願者が増え続けているが、キャンパスリニューアルなど改革の手を緩めないこともあり、さらに増える可能性が高い。

2位の明治大学も女子の志願者増が一因。00年と16年の志願者の女子占有率を比較すると、25.5%から34.7%に上がっているのだ。明治大は10年に早稲田大学を抜き、その後、志願者数日本一が4年間続いた。10年頃といえば、山下智久氏や北川景子さんなど有名タレントが相次いで卒業した時期に重なる。1998年のリバティタワーや04年のアカデミーコモンの開設に代表されるキャンパスのリニューアルにより、きれいなキャンパスを好む女子受験生の注目が高まっていたところに、著名人の卒業でさらに認知度が上がったようだ。

このほか、08年秋のリーマン・ショックによる経済不況により、受験生の安全志向が強まったことも要因。早慶など難関大志望者が、明治大も抑えておこうと出願したケースが多かったと考えられる。

対照的に3位の早稲田大は、受験生の安全志向がマイナスに働いた可能性が高い。早稲田大の出願を減らしてその分、明治大にという受験生が多かったのではないか。地元志向の強まりで地方からの志願者が減少していたこともあり、早稲田大は8年連続で志願者が減少していたが、今春は増加に転じた。志願者の減少により倍率が下がったこと。さらに、東京大学が後期日程を廃止して実質的に一発勝負となったため、早稲田大の出願数を増やした受験生も多かったようだ。