明治・早稲田を抜いた理由

「固定概念を、ぶっ壊す。」

近畿大学 新聞広告

そんなキャッチコピーがついたポスターの絵柄は、山のてっぺんからまぐろが頭を突き出したもの。テレビや新聞、雑誌などで見たことがあるかもしれないこのポスターは、近畿大学の広告だ。かなり評判になったものだが、今でもこの絵はインパクトがある。その後も「マグロ大学って、言うてるヤツ、誰や?」とマグロが横目でギロリとこちらを見るポスターや、飛行場にマグロが並び、1匹が遠く空へ飛び立っているものなど、インパクトがある広告を仕掛けてきた。

近畿大学広報部長の世耕石弘さんは、このポスターを前に「タブーを壊すことで、新しいものが生まれるんです」と話す。

ただおもしろがってマグロをポスターにしたわけではない。これもご存知の方が多いだろう、世界で初めてクロマグロの完全養殖化に成功した大学だからこそだ。今までの大学なら「マグロの完全養殖化に成功!」と実績を全面に押し出し、偉業を成し遂げたにもかかわらず楽しいキャンパス、と演出したかもしれない。ところが、世界的な研究成果を逆手にとって、自分たちを「マグロ大学」と揶揄するような、今までにない視点で注目を集めたのだ。関西特有の「ボケたらつっこんでやー」と言われているような、そんなノリすら感じられる。

「大学には、なんぼでもタブーが存在します。それを破るだけでびっくりされます。」

タブーを破る。それだけでマスコミの視線を始め、SNSなどを使ってますます広がり注目を集める。すると、とてつもない宣伝広告の効果が生まれていく。

さまざまな“インパクト”が功を奏して、今や近畿大学は明治や早稲田を抜いて、大学志願者数・日本第一位を続けている。そこには、まだたくさんの“仕掛け”が存在する。