携帯電話で大学願書出願の時代
近畿大学は「エコ出願」を行っている。2014年度入試から紙はいっさい廃止。100%ネットのみで願書を受け付けるというものだ。今どきの学生はほとんどがスマートフォンを所有しているし、家にパソコンがあることも多い。もしIT機器を所有していなくても、図書館やネットカフェに行くこともできる。つまり、誰でもネットで出願可能というわけだ。
書き損じる心配もなく、さらにネットなら3000円も検定料が安くなる。スマホで15分で出願できるなら受験してみようかな、という気分にもなるだろう。エコ出願を開始してから志願者は1.5倍になった。もちろん、さまざまな広報戦術が並行しているが、手軽さが倍率アップにつながり、学生も集まりやすくなり、大学のレベルアップにも一役買ったことは間違いない。
そして、大学が練る広報戦略は、雑誌AERA「近大パワーでニッポンを救う!」、Newton「近畿大学大解剖」など、市販のムックにまで広がっている。もちろん大学が数多く買い取るのだけれど、書店にも出回り、平積みで“近畿大学”の文字が表紙に踊る。普通に学内で広報誌をつくったなら、年功序列や勤続年数、立場や研究実績などあらゆることを考えて、先生を紹介しなければならない。ところが外部に投げることで、その雑誌がいいと思ったことを選んで、実績や新しい発見などを平等に扱ってくれるようになる。すると、近畿大学48学科のおもしろいところ、優れた研究成果などを客観的に紹介できるというわけだ。
近畿大学は、「大学などいらない」と豪語する人物を卒業式に呼ぶなど、さらなるタブーに挑戦する。加えて、世耕さんが話す“変態大学(kinkyは英語で変態)から、世界に羽ばたく大学へ!”のプロジェクトなどの話題もあるが、それらはまた次回に。