偏差値上位校でも年収が低い理由
あいつはいくら給料をもらっているのか――。給料で人生における幸福度が決定されるわけではないが、誰でも一度くらいは他人の給料を知りたいと思ったことがあるだろう。ランキングの表は、2013年10月~14年9月末に転職サービスDODAに登録した人の年収を基に作成した「卒業大学別平均年収ランキング」である。これに『2016年度用大学受験案内』(学研)を基に各校の偏差値を加えた。年収データは、DODA登録時の「現在の就労先の年収」なので、まさに今、各大学の卒業生が「いくらもらっているのか」がランキングに表れている。
1位から20位くらいまでは、厳密に偏差値順とは言えないものの、納得の有名大学が名を連ねている。
「ランキング上位校の顔ぶれは、20年以上ほとんど変わっていません」と語るのは、ランキングデータの分析を行うインテリジェンスのDODA編集長・木下学氏だ。大手企業には、社風のごとく「○○大学出身者が多い」「一部の有名大学出身者で占められている」というケースも珍しくなく、高給取りの彼らの年収が卒業生の平均を押し上げているのだという。
「もうひとつ理由として考えられるのは、ランキング上位校出身者のほうが、仕事上の実績を残す傾向にあること。転職においては前職での実績が重視されるので、実績があれば年収の高い企業への転職が叶い、結果的に卒業生の平均を押し上げることに」(木下氏)
仕事の能力は偏差値に比例するものではないが、過酷な受験を勝ち抜いてきたガッツや勉強に対する前向きな態度は、必ず仕事にも生きてくる。相対的に有名大学出身者が仕事で結果を残すケースが多くても、不思議ではないと言えるだろう。
全体に納得感のあるランキングだが、1位の東京大学は631.5万円で、94位の千葉工業大学は443.6万円。約190万円は決して小さな差ではないが、「もっと大差があるはず」と予想していた人も多いのではないだろうか。木下氏は次のように語る。
「どんな有名企業も、新卒時の初任給はほぼ横並び。20代後半から徐々に年収の差が開いていきます。調査対象者の平均年齢が33歳と比較的若いので、多くの人のイメージよりも全体に平均年収が低く、上位と下位の差も小さいのでしょう」
40代、50代の卒業生に限ってランキングを構成すると、また違った結果が見えてきそうだ。