ベッキーの不倫疑惑、SMAPの分裂騒動など年明けから耳目を集めるニュースが相次いだが、政界も例外ではない。アベノミクスの司令塔だった甘利明経済再生担当相が金銭授受疑惑で急遽辞任し、安定政権を築いてきた安倍晋三首相の政治スケジュールに初めて黄信号が灯った。今年夏に衆参ダブル選で憲法改正に道筋をつけるシナリオは修正を余儀なくされるのか。執念があふれる舞台裏を探った。

「私の事務所が招いた国民の政治不信を秘書のせいだと責任転嫁することはできない」。1月28日の記者会見で、甘利氏は無数のフラッシュを浴びながら声を震わせ、辞任を発表した。週刊文春が報じた金銭授受疑惑は、千葉県の建設会社の総務担当者が甘利事務所に「口利き」を依頼。甘利氏や秘書に資金提供や接待を行っていたというものだ。政治資金規正法やあっせん利得処罰法違反の疑いがあるとされ、政府・自民党には激震が走った。

アベノミクスの司令塔は、週刊誌報道により無念の辞任。(時事通信フォト=写真)

甘利氏は第一次安倍政権から閣僚を務め、2012年末の政権奪還後も経済再生、TPP担当など最重要ポストを重ねてきた首相の盟友。麻生太郎財務相と菅義偉官房長官の2人を含めて政権を支える「3A1S」とも評された。首相からは「たとえ支持率が10ポイント落ちてもいい」と慰留されたが、野党やマスコミの追及は強まる一方で、無念の辞任に追い込まれた。

ただし、表舞台から退場しても野党側が手を引くわけではない。民主党や維新の党は疑惑追及チームを設け、甘利氏や関係者の国会招致を要求。大学教授グループが刑事告発に向けて動くなど事態が沈静化する兆しは見えない。告発を受理した検察が不起訴と判断しても、検察審査会が「不当」とすれば改めて捜査されるため、「シロ」への道のりは長い。過去には所属する政党の支持率が急落したこともある。