今回から始まる新連載。ネットニュース編集者・PRプランナーとして活躍する中川淳一郎さんが、「いま」という時代を象徴するようなトピックについて、ビジネスやサラリーマン生活などと絡めながら大胆に切り取っていきます。出家騒動で注目の女優・清水富美加さんの「月給」が話題に。「薄給やむなし」「それはブラック労働」と意見が錯綜。どう考えるべきかなの。
「薄給もやむなし」「それはブラック労働」意見が錯綜
宗教法人「幸福の科学」への出家騒動で耳目を集める女優・清水富美加の「月給」が話題になっている。
出家を発表した数日後、清水の法名「千眼美子(せんげん・よしこ)」名義で唐突に刊行された告白本『全部、言っちゃうね。』(幸福の科学出版)などによれば、デビューから数年は事務所から月給5万円で契約させられていたこと、NHKの連続テレビ小説「まれ」(2015年)出演当時には月給12万円ほどだったこと、2016年は年収1000万円に大幅アップしたことが伝えられている。そうした情報を受けて「あまりに薄給」「若いタレントが芸能事務所から搾取されている」と批判する声も少なくない。
清水がすがった幸福の科学サイドは、清水の最近の年収ではなく、長らく所属事務所から固定でもらっていた「月給」にあえて焦点を当てている節もあり、彼女がいかに事務所から冷や飯を食わされ続けてきたか、強調しようとしている印象は否めない。
ただ、ここで若干違和感をおぼえるのが、今や売れっ子となった芸能人が事務所を擁護している点である。「芸能界は古い体質があるから仕方がない」といった声も出ている。つまり「芸能界とはそういうものなのだから、下積み時代は給料が安くても仕方ないだろ」ということだ。
一方、労働問題の識者らは事務所が彼女に強いてきた状況を「ブラック労働」だと批判しており、両者の溝はなかなか埋まりそうにない。