目の前にある食べ物や飲み物は、はたして体にいいのか、悪いのか。ボストン在住の医師・大西睦子先生がハーバード大学での研究や欧米の最新論文などの根拠に基づき“食の神話”を大検証します。

「加工肉を毎日50g食べると、大腸がんのリスクが18%増す」という衝撃的なニュースが2015年10月、世界中を駆け巡りました。加工肉とはハム、ベーコン、ソーセージなどのこと。50gはベーコンなら約2枚、大きなホットドッグに入ったソーセージなら1本程度。このニュースの発信源は、WHO傘下の「国際がん研究機関(IARC)」がフランスのリヨンで開催した会議です。世界10カ国から22人の科学者が集まり、これまでの約800の研究論文から、加工肉などの消費量と発がん性を総合的に評価しました。

その結果、発がん性があるかどうかについて科学的根拠の強さにより5つのグループに分けたなかで、加工肉は最も根拠が強い「グループ1、発がん性がある」と判定。大腸がんに対する影響だけでなく胃がんとの関連も示唆しました。同じグループ1に分類されているのはタバコ、アルコール、紫外線やアスベストなど。加工肉は、これらと同等のリスクがあるというわけです。

(小澤啓司=構成)
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