左遷されたとき心を楽にする術

では、あなたがもし執行役員や、その予備軍である部長なら、どのように振る舞うべきなのでしょうか?

私は、時の“経営者”ではなくて、その“企業”にとって、何を成すのがベストなのかを追求すべきだと考えます。

50代でラインに残った人たちは、企業の次世代のリーダーと目されています。企業の将来は、その人たちの双肩にかかっているわけです。「企業をどんな姿にしたいのか」「企業のDNAを後輩にどうやって伝えるのか」といったことを真剣に考え、部下を巻き込んで行動すべきなのです。

上のほうよりも、下のほうを見ながら仕事をすることになるので当然、上役たちはいい顔をしないでしょう。私も部下と一緒に銀行の経営改革をしようと立ち上がったことがあるので、身に覚えがありますが、「君は自分の立場がわかっているのか」などと圧力をかけられる。それでも、ブレずに自分の信念を貫くべきだと思います。

「そんなことをいったって、クビになったらどうするんだ」ですって?

それなら、それでいいじゃないですか。腹をくくりましょうよ。人間、開き直れば、これほど強いものはありません。

私は、50代に必要なのは「自分を捨てる力」だと考えています。身に染み付いた我欲や見栄の一切を、思い切って捨ててみる。いままで50年生きてこられたのだから、御の字です。これからの第二の人生を輝かせるためにも、人生をリセットしましょう。『論語』には「50にして天命を知る」とあります。私は、第二の人生では自分のためではなく、まわりや社会のために何ができるかを考えたほうがいいと思います。お子さんも大きくなっただろうし、奥さんだって腹を割って話をすれば、きっと応援してくれるはずです。

わが道を貫いた結果、企業から「執行役員解任」「左遷」といった不本意な仕打ちをされたとしましょう。そのときは、「会社に尽くしたのに」「会社の将来のために頑張ったのに」などと、つい「○○したのに」と恨み言をいってしまうもの。でも、それはあなたのためになりません。

詩人の相田みつをさんは、「○○のに地獄」に陥らないようにと諭しています。後ろ向きなことは忘れて、心の負担を軽くしましょう。私の後輩にも社長に疎んじられ、「○○のに地獄」にはまった会社役員がいました。しかし、社長の顔色を気にしなくなったら、見違えるほど元気になりました。