昇進することで変化する関係性

昇進には代償が伴うことがあります。それまで親しくしていた職場仲間が急によそよそしくなる、あるいは足を引っ張ろうとしているのではないかとお互い疑心暗鬼になる、というのは日本でも欧州でも変わりません。

ではそもそも友情とは何か、どのように友人ができるかという点を考えてみましょう。多くの場合、私たちは何か似たところがある人を選んで友人となります。価値観や道徳観念が似ている、あるいは年齢が近い、同じ性別だとか、共通の趣味がある、といったことですね。

しかし、一方が昇進すると以前ほどの共通点が見られなくなります。友情は本来対等で、パワーバランスが変われば変化が起きます。価値観が変わるし、収入が違ってくることで生活が変わることもあるでしょう。友情を維持しようとしたら、そういった変化を乗り越えねばなりません。しかし、仕事だけが友情にヒビを入れる原因となるわけではありません。友人の結婚、あるいは子供ができて疎遠になったという経験は誰しもがあるのではないでしょうか。

もう一つ忘れてならないのは昇進によって、それまでとは違う責任が発生することです。それまで友人だった部下の提案やプランを上司として却下することもあれば、配置転換、あるいはリストラで解雇することすらあるかもしれません。かつてとは違う権力がともなったことで、関係性に変化が生まれ、それまでと同じ友情を維持することが難しくなることもあります。さらに片方が先に階段を上ったことにより競争意識が煽られることもあるでしょうし、取り残された側に嫉妬心が芽生えることも少なくありません。妬まれて嬉しい人はいませんから、上司になった側も、それまで友人だった部下に対して警戒心や不信感を抱くようになります。