今や、残業するほど仕事ができないと思われる時代。限られた時間で最大の成果を出すには──。経営トップ、心臓外科医、3つ星シェフ……斯界のプロにそのテクニックを聞いた。
1日30分、時間を奪われている
自分のデスク周りやカバンの中が散らかっている人は、気がつかないうちに余分な時間を取られている。
「みなさん、かたづけができていないために1日平均30分の時間を奪われています」と警告するのは小松易氏だ。
スッキリ・ラボ代表の小松氏は、日本初の「かたづけ士」として日々、整理整頓が苦手な人たちにかたづけのコツを指南している。これまで2000人以上にかたづけを指導し、数十社の企業で環境整備に携わった。
「まず机の上に何があるかわからないような状態では、必要な書類を探すにも余計な時間がかかります。そのうえ透明のデスクマットを敷いて、その下に古い写真や名刺を入れてあると、『そういえばあの人とは一緒に……』と仕事と関係のないことを考えはじめ、上の空になってしまいます」
デスクの上が散らかっていると、仕事そのものにかかる時間が延びるうえに、不要なことに気を奪われ、二重に仕事の効率が悪くなる。ビジネスパーソンのフィールドであるデスクが乱雑ではよい仕事はできない。
それではどこから手をつけたらいいのか。小松氏は「“かたづけ”にはリセットと習慣化があります」という。
まず、リセットだが、これはいわゆる整理整頓のこと。ただし、物を減らす「整理」と物の置き場を決める「整頓」を意識的に区別し、実行することが肝心だ。順番に説明していこう。
整理には、(1)外に出す、(2)分ける、(3)減らす、(4)しまう、という4つのステップがある。
たとえば、今日はこの引き出しをかたづけようと決めたら、なかの物をいったんすべて外に出し、必要か否かを分け、捨てるものは捨て、元の場所にしまうという流れだ。ポイントは2つある。
「一点は整理にかける時間をあらかじめ決めておくこと。たとえば、引き出しひとつを15分でかたづけると決める。かたづけはリズムですから、それ以上時間をかけると嫌になってしまいます。もう一点は『使っているかどうか』で要、不要を判断すること。要るかどうかで考えると『要るかもしれないな』と思いがちです」