「残業は無駄だ」と言える会社ほど強い

ただし、そうした土台をつくれるのは経営者だけだ。企業の99%はトップで決まる。私は「残業は無駄だ」と言い続けているが、残念ながら日本企業ではいまだに長時間労働がまかり通っている。

私はアメリカに駐在していたとき、彼らの働き方に強い刺激をうけた。アメリカではエリートほど朝早く出社する。そして3時ごろには仕事を終えて、趣味のために時間を使う。私の同僚は、仕事を終えてから、よく日が暮れるまでヨットに乗っていた。もちろん翌日はいつも通り朝早くに出社してくる。

彼らは、よく働き、よく遊んでいる。なぜここまで違うのか。それは日本企業にそうした働き方ができる「仕組みと文化」がないからだ。仕事が終わった人間から帰る、という仕組みがあれば、「よく働き、よく遊ぶ」という企業文化が根付く。そうなって初めて、「残業は無駄だ」という正論を誰もが堂々とぶつけられるようになる。正しいと思うことを正しく議論するためには、その土台となる「仕組みと文化」が不可欠なのである。

残業が好きな人はいないだろう。無駄なことがしがらみによって「やめられない、とまらない」では困る。ただし、頭ごなしの言い方では、反発を招きやすい。私はよくこう問いかける。

「こちらに行けば、これだけいいことがあると私は思いますが、あなたが正しいと思う方向はどちらですか」

シンプルでわかりやすい問いかけが、強い企業文化をつくるはずだ。

松本流●話し下手克服の3ポイント

・自分の考え方の「拠り所」を決めておく
・指示はできるだけシンプルに
・「あなたはどう思うか」と問いかける

(山田清機=構成 小倉和徳=撮影)
【関連記事】
「人によく思われたい」なんて意識は、ゴミ箱に捨てよ
部下のモチベーションを上げる「二枚舌」の使い分け方
一瞬で嫌われる「部下へのNG言動」ワーストランキング15
刑事が教える「部下のウソ」を見抜く法
会社経営の99.9%はトップで決まる