会社というものは機械の部品を交換するように「悪い仕組み」を「いい仕組み」に取り換えればその瞬間からうまく動きだすような、単純なものではない。

トップの姿勢が会社の命運を決める

リヴァンプの場合、クライアント企業の再生をお手伝いすると決めたら、まずは徹底的に現場を理解するところからスタートする。クライアントがレストラン・チェーンなら、ピーク時間帯の11時半から13時半の間、十分なサービスを提供できる人員配置ができているかといった、極めてベタなところを調査していく。問題点の洗い出しができたら、それをテーブルの上に乗せて社員と一緒に議論しながら改善策を探っていく。効果が出なければ、再び議論をする。

リヴァンプ代表取締役 澤田貴司氏

企業再生とは、こうしたいかにも地道な作業を何度も何度も繰り返すことによってようやく達成されるものであり、いきなり業績を改善してしまうような、そんな魔法のような仕組みなどこの世に存在しないのである。

企業再生を長年手がけていると、いくらテコ入れをしてもダメな会社と、再生の可能性のある会社の見分けがつくようになってくる。自戒を込めて言うのだが、資産を持たず、大きな借金を抱え、大赤字を出している会社は、一発で借金を消せる規模の資金が投入できない限り、誰がテコ入れに入ってもうまくいかない。

では、再生可能な企業とはどのような企業かといえば、ダメな企業の逆さまで、わずかでも黒字が出ていて、借金が少なく、努力すれば売れる商品を持っている企業ということになる。ただし、再生に不可欠の要件、しかも最も重要な要件がもうひとつあるのだ。それは経営トップが正しい方向性を持つ、ということ。再建の成否は99.9%、トップの姿勢にかかっていると言っても過言ではない。

私が考える正しい方向性とは、シンプルに以下の4つの軸で表現できる。

1. 客が本当に喜ぶ商品、サービスを提供し、客をハッピーにする
2. 取引先が応援し支援してくれる経営を行って、取引先をハッピーにする
3. 社員が理解でき納得できる目標を掲げて、社員をハッピーにする
4. 健全な利益を出す

この4軸に合致する方向へトップが本気で歩きだし、それが社員の腹に落ちたとき、初めて再建は動きだす。