「交通事故は自由診療」?
難しいのは病院に行くタイミング。大ケガなら病院が先なのは言うまでもないが、警察の実況見分に立ち会わないと、加害者側の言い分で事故が処理されるおそれがある。軽傷だったり、ケガがないようなら、病院は実況見分の後にする方法もある。
ちなみに交通事故は健康保険がきかないという噂があるが、それはウソ。交通事故でも健康保険が使えることは、厚労省が通達済みだ。「どうせ加害者側の保険会社が払うのだから、健康保険を使わない自由診療でもいい」と自分自身で決めつけないほうがいいようだ。
「被害者にも落ち度がある場合、その過失割合に応じて、加害者側が支払う治療費は減額されます(過失相殺)。減額された分は、被害者が負担せねばならないため、健康保険を使ったほうが負担は少なくなり、得なのです」
具体的な数字で説明しよう。たとえば自由診療の治療費が200万円の場合。過失割合が加害者8割、被害者2割なら、40万円が被害者負担だ。一方、保険診療の場合は、同様の通院で治療費が30万円程度におさえられることも少なくない。この場合、過失相殺されるのは、30万円×2割の6万円で済む。結果、被害者の負担分は34万円も減ることになる。
「交通事故は自由診療で」という話もよく耳にするが、それを信じてしまうともったいない。きちんと保険を適用してもらおう。
(図版作成=大橋昭一)