かつて血液がんは、5年生存率が低く、不治の病と言われていた。しかし近年、その認識は大きく変化している。目覚ましい勢いで研究開発が進むなか、鳥取大学医学部附属病院では施設認定を取得するための体制を整え、新たな治療法の導入に精力的に取り組んできた。血液がんの最前線をリポートする――。

※本稿は、鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 22杯目』の一部を再編集したものです。

点滴と患者
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血液内科医にとって“無知は罪”

教授として医局を率いつつ、臨床の最前線で主治医としても患者を受け持つ、とりだい病院血液内科教授の河村浩二に休息の時間はない。日々の仕事が忙しいことはもちろんだが、少しでもまとまった時間ができればジャーナルを手に取り、論文に目を通すからだ。

「常に病気や治療に関する論文は読むようにしていますが、きりがありません。学会や講演会には遠くても足を運ぶし、気になる薬があれば製薬会社に連絡して情報収集しています。

医師――とくに血液内科医が知識をアップデートするのは当然のこと。私たちにとって“無知は罪”です」

今や医療界にも働き方改革の波が来ており、残業は容易にできない。しかし、河村は「仕事じゃない。自己研鑽です」といって夜中まで仕事をする。時代に逆行するハードワーカーぶりだ。

ただ、血液がん治療の変化を知れば、知識のアップデートにこだわる姿勢は納得できる。血液がんはかつて不治の病と言われていたほど治療が難しい病気だったが、新しい薬の登場で近年は助かる命が増えてきたのだ。

血液がんは、血液細胞ががん化して増加する非固形がんである。一部を除き、他の固形がんのように生活習慣や遺伝の影響はなく、子どもから高齢者まで誰もが突然に罹患する可能性がある。

発生段階などからさまざまな分類ができるが、なかでも三大血液がんとされているのが「白血病」「悪性リンパ腫」「多発性骨髄腫」だ。

鳥取大学医学部附属病院 血液内科教授の河村浩二氏。
鳥取大学医学部附属病院 血液内科教授の河村浩二氏。