実践2:潜在能力ギリギリのチャレンジングな目標を与えよ!
ご褒美の効果に対して、「最近の若いヤツらは『楽しく働ければ、お金なんて関係ない』などと言う。ご褒美を与えても意味がないのでは?」と疑問を持つ向きもあるだろう。だが、「この『楽しければ』という言葉の裏側に秘められた欲求に注目する必要がある」と太田氏は指摘する。
「内閣府が行った2010年度『国民生活に関する世論調査』によれば、20代男性は、『どのような仕事が理想的だと思うか』という質問に対し『自分にとって楽しい仕事』と答えた人が『収入が安定している仕事』とほぼ並び、約6割で最も多かった。ところが、この『楽しい』に類似した感情として『うれしい』がありますが、私が企業や自治体で働く人を対象に『どんなときに最もうれしいと感じたか』について調査したところ、ほぼ半数の人が『周囲から褒められたり認められたりした経験』を挙げたのです」(太田氏)
つまり、褒められたり認められたりするというご褒美が、「楽しく働く」ための大きな要因となっている可能性があるわけだ。
「ご褒美の中でも最も効果的なのは『大きな仕事を与える』こと。自己効力感をストレートに感じられるからです。加えて、その人が持っている潜在能力をすべて発揮したときに達成できるかできないか、といったチャレンジングな目標、つまり“ギリギリの目標”を与えることが有効です」(太田氏)
「一番モチベーションが上がるのは、達成確率が五分五分のときだとポジティブ心理学の研究でも判明しています。ただし上司は、不安を抱きかねない部下に対し『おまえの可能性は、おまえ以上に上司の俺が信じている。目の前の結果は恐れるな』くらいの言葉をかけたほうがいいでしょう」(成瀬氏)