これからの企業にとって「女性の活躍推進」が重要なことは言うまでもない。だが、マネジメントの現場には、「女は扱いにくい」という声も多い。そんな苦手意識を払拭し、「女性の力」を効果的に引き出すための褒め方・叱り方のコツを紹介しよう。

「女性社員は扱いにくい」「女性社員を叱れない」――。男性マネジャー向けのコーチング研修の席では、そんな「男の本音」を聞くことが多いと話すのは、管理職の企業研修を数多く行っているプロフェッショナル・コーチの小野仁美氏だ。

「女性の社会進出が進んだとはいえ、企業は基本的には男性社会です。その中で育った男性が女性のマネジメントを苦手とするのは、ある意味、当然のこと。『女性らしさ』を生かすには、『女性らしさ』を理解することが欠かせないのです」(小野氏)

理解の手がかりとなるのが、コーチングで用いられる「スタイル分析」の考え方だ。スタイル分析では人間の性格を4タイプに分類する。【1】ガバナー(G)タイプ=野心があり統率力を備えた「支配型」。【2】プロデューサー(P)タイプ=想像力と好奇心あふれる「旗振り役」。【3】サポーター(S)タイプ=気配り上手な「縁の下の力持ち」。【4】リサーチャー(R)タイプ=冷静さと分析力に優れた「研究家」。

この4つに女性特有の「らしさ」が加わって、女性の性格は形づくられているわけだ。

「比較的、男っぽい性格のGタイプとPタイプの女性は“生意気な女”と敬遠されがちですが、基本的には男性同様に接して平気なので、マネジメント的には扱いやすい。でも、多くの男性が求めるのはSタイプ。献身的で、一見、従順なため扱いやすそうですが、実は放っておくとそっぽを向かれる少々面倒なタイプです。そこに男性側の大きな勘違いがあります」(同)

感受性が高く、穏やかな性格で、強い母性を発揮するSタイプは、典型的な「女性らしさ」の持ち主。その半面、人間関係や場の空気を重視し、理屈ではなく感情で動きやすく、他人からの共感や承認を強く求める。

「男性から見たら、ちょっと『面倒くさい女』かも(笑)。でも、世の中にはSタイプの女性が最も多いのが現実。他の3タイプの女性も多かれ少なかれSタイプの傾向を持っていると考えたほうがいいですね」(同)