4タイプそれぞれの特徴と具体的な褒め方・叱り方は【後編】に譲り、ここでは女性に共通する褒め方・叱り方のコツを押さえておきたい。

小野氏によれば、他人を褒める際の着眼点は、(1)結果承認、(2)事実承認、(3)存在承認の3つ。例えば、最終結果を達成したときに「よくやり遂げた!」と褒めるのが結果承認。「この資料、わかりやすくなったね」などと、結果にかかわらず、その「事実」を言葉にするのが事実承認。存在承認は「あなたがいてくれて助かる」と相手の存在そのものを認める言葉がけだ。

「男性上司の多くは結果承認で事足れりとしていますが、タイプにかかわらず世の女性が最も求めているのは存在承認。存在承認されると、『この人のために頑張ろう』と思うのが女心、母性です。そんな気持ちにしてやれたらベストですよね」(同)

一方、叱り方で注意すべき点は、女性は相手の表情や語気などから相手の感情を敏感に察する能力が高いということ。男性もそれを知っているからこそ、「女性を叱れない」と悩んでしまうのだと小野氏は言う。

「“怒鳴る”と“叱る”を勘違いしている男性上司が多いですね。部下を怒鳴りつけて『申し訳ありませんでした』という言葉を引き出すだけでは、その後の行動の改善には結びつきません。男性なら黙って従うかもしれませんが、多くの女性はただ萎縮し反発するだけ。高圧的・威圧的な叱り方は『パワハラ』と受け取られかねないので注意してください」(同)

怒鳴らずに叱るためには、起こった事実を伝えて「反省してほしい」と言えばいい。また「なんでできないんだ!」と詰問するのではなく、「どうしたらできたのか?」と質問することだと小野氏は続ける。

「叱るという行為は、同じ失敗を繰り返させないためのコミュニケーションです。(1)何が起きたのか、(2)本当はどうしたかったのか、(3)失敗の原因はどこにあるのか、(4)失敗を次にどう生かすのか。この4つの質問を投げかけ考えてもらうことが、失敗から学ぶ指導です」(同)

こうした褒め方・叱り方の基本を理解したうえで、【後編】では4タイプの性格にあわせたより具体的な褒め方・叱り方を学んでいきたい。

ビューティーアンドサポート代表取締役社長 小野仁美(おの・ひとみ)
日本で最も経験豊かなプロフェッショナル・コーチの一人であり、経営者、管理職をはじめとする個人向けコーチング、企業内コーチング研修やモチベーション研修などの講師として活躍中。
(構成=田端広英 撮影=遠藤素子)
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