理解と共感が求められている
ドイツで博士号を取得後来日して11年になりますが、日本で一番驚いたのは、働くときの契約の意味がドイツと全く違うことです。ドイツでは事前にすべてを話し合い、合意事項を文書にしますが、日本では口約束だけで仕事が始まり、契約書を交わした後に様々な変更を求められることがあります。実はここに、女性社員との軋轢を生む原因があると私は見ています。
一方で、「一番働いているのに評価がおかしい」と言い張る女性社員に管理職側はどのように対処すればよいのでしょうか。
女性が昇進や昇給を手にしようと思うなら、まず自分の業績や実績をすべて文書で残すことです。そうすれば、主張の切り札にできます。女性が主張するときの問題点として、謙虚になりすぎるということがあります。ドイツの男はやたら「オレはすごい。何でもできる」と言い張る一方で、女性は「一所懸命にやれば、ひょっとしてできるかもしれません」とすでに言葉遣いの段階で差が出ています。そしてもう一つ大切なのは女性も男性を見習い自らを売り込む術を身に付け、人脈・ネットワークづくりに力を入れるべきです。人のつながりがあればこそ、お互いに助け合えて、いい話が舞い込むこともあるのです。
まず初めに、お互いにそんな不満や鬱憤があると認めて、話を聞くことです。ここで注意しなければならないのは、女性の問題は必ずしも職場内で起きているとは限らないということです。たとえば彼氏と別れたばかりとか、飼い猫が死んでしまったとかですね。
こういうとき、男性は貝になり、黙ります。一方で女性は問題を語るわけですが、これは決して「この問題を解決してください」という意味ではありません。ただ、聞いてもらいたいのです。下手に解決策などを話したら女性は怒りだしてしまうこともあります。こういうときの正しい答え方は、「なるほど、つらいんだね。わかるよ。苦しい時期なんだね」です。求められているのは理解と共感です。ここを間違えてはいけません。