「他人の足を引っ張る」タイプは、コストパフォーマンス重視かどうかに深く関わる。その特徴は恋愛や勉強においても顕著に現れる。心理学者の植木理恵さんに聞きました――。

人の足を引っ張るパーソナリティ

突然ですが、あなたは「コストパフォーマンス教」の信者ですか。コスパ教は私の勝手な造語ですが、もちろん宗教の話ではありません。もし、人を2つのタイプに分けるのであれば、1つはコスパをとても重視する人(以下、CP系)で、もう1つは回り道でも遠回りでも、また他人にどう言われても信ずるわが道を突き進もうとする人(非CP系)です。

CP系の人の仕事のやり方のモットーは、効率よく最短時間で、なおかつ安上がりに成果を上げようとすることです。そして、この価値観は驚くべきことに勉強でも恋愛でも、同じ。CP教は、働き方という次元を超えた、生き方やパーソナリティの問題とさえ私は考えています。

お題にある「他人の足を引っ張る人」は、まさにこのCP教徒です。例えば、同じ職場で、年齢も近い同僚が自分より先に昇進するらしいとの噂を耳にした。どうして自分ではなく、アイツか。嫉妬のあまり、同僚のプレゼンにいちゃもんをつけ、評価を悪くして、引きずり降ろすべく画策……。よくある話かもしれません。本来なら同僚に負けず、自分も上司に引き上げてもらえるよう努力するのが筋ですが、そうしない。

なぜか。自分がステップアップして成果を出すには時間がかかるからです。それよりも、足を引っ張って相手をおとしめたほうがずっと効率がいい。本能的にそのほうが楽だと知っているのでしょう。ヒトはサルのようにマウンティング(馬乗り)して個体間の優位性を誇示しない代わりに、嫉妬した仲間の成功のじゃまをするのです。