上司にとって部下の操縦法は常に悩みのタネだ。もし、ご褒美をあげるだけで前向きに取り組み、成果を挙げてくれるならこれほどいい話はない。

※前編はこちら(http://president.jp/articles/-/17064)

実践5:「表彰制度」は選考過程をオープンにせよ!

多くの場合、褒められればうれしくなるものだが、仕事へのモチベーションや自己効力感という意味では、「誰に」褒められたかがポイントとなる。

「最も効果的なのは、上司に褒められること。昇給や昇進といった実利に結びつくと考えられているからでしょう。同僚や他部署の人から褒められた場合、人間関係がよくなる効果はあっても、仕事へのモチベーションアップにはつながりにくいようです」と語るのは、組織論を専門とし、日本表彰研究所の所長も務める、同志社大学教授の太田肇氏。

ただし、集団の中で上司から特定の者が褒められると、周囲からのねたみや嫌がらせを引き起こす場合がある。そこで注目されているのが、表彰制度だ。ただ、表彰制度というと、旧来型の「モーレツ社員」を重んじるというイメージもある。現代においては、歓迎されそうにないが……。

「表彰は会社としてその人を認めるという明快な意思表明なので、受賞者はそれを誇りに思うことができ、周囲もそれを受け入れざるをえません。ポイントとなるのは透明なプロセスと、あらゆる人が表彰される可能性があるという公平さ。さらに、日の当たる人だけでなく、非正規社員やアルバイトなど縁の下の力持ちも対象となるような制度であれば、組織を活性化するご褒美として有効となります」(太田氏)